貨物を盗難から守るには〜海上貨物編

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貨物を盗難から守るには〜海上貨物編

2017.04.18/

〈イメージ画像〉コンテナシールとは正にこのテープの様に、封が開けられたことが分かる様にするためのものです。
(掲載元: タニムラ(株)HPより)

 

 

先日は航空貨物のセキュリティーについてお話ししましたが、海上貨物にも盗難の危険は潜んでいます。

 

一番一般的な貨物の海上輸送方法としてコンテナ船による輸送が挙げられますが、あんな頑丈な箱に入って船に乗ってやってくるものの中身が、いつ、どうやって被害に遭うのか不思議に思われるかもしれません。

 

コンテナは、荷物を詰められ輸出通関の許可が下りた後、きちんと封をされます。そして、保税貨物となったコンテナの中身に一切触ることが出来ないよう、”シール”と呼ばれるものが扉に付けられます。シールにはひとつひとつ固有番号が書かれており、それはB/Lにも記載され、どのコンテナ(コンテナ番号)が、どのシール(シール番号)で封され、どこの誰から誰に送られるかは、書面上にしっかり記されます。コンテナの扉をもし開けることができたとしても、扉を開けると必ずこのシールに開けられた形跡が残るため、不届き者の悪事はすぐにバレてしまうようになっています。おまけに通関許可の下りたコンテナはすぐにセキュリティーの厳しい港のコンテナヤードに運ばれ、船に積載されるわけですが、航空輸送と違い貨物がむきだしでなく、一度コンテナに積んでしまえば、輸入通関の許可が下りるまでコンテナに入ったままです。

 

  • テープシールとワイヤーシールの一例。
    頼りなく見られがちですが、実際は丈夫にできています。
    (掲載元: タニムラ(株)HPより)

  • では、どこのタイミングで狙われるか。一番よく聞くのが、日本から輸出した場合に、その送り先の治安が悪く、着地側で盗難にあったというケースです。船の輸送は日本から香港、上海などの近海航路でも遅延なく無事着いたとして約3日。海の上の逃げ場がない状態で物を盗むことはまずしないでしょうし、そもそもコンテナ船に見知らぬ輩は乗ることも降りることもできません。ただ、治安の悪い国にコンテナを降ろした後は、たとえコンテナに入ったまま移動していても、そのコンテナの扉を無理矢理開けて物を盗むやつらがいるらしいのです。シールが切れて封が開けられたことがバレてもお構いなし。あの手この手でコンテナに近付き扉をこじ開け、巧妙に逃げていくのです。

 

私が輸送をお手伝いした件でそういったトラブルは幸い実際には起きませんでした。でも、お客様の方で、別の輸送業者を使った時に盗難の被害に遭われ、同じ仕向地の貨物を扱っていた私の方に対策をお願いされたことがありました。

 

 

ボルトシールの一例。
閉めた時には写真下の様な状態になります。
(掲載元: E-sun Industrial HPより)

 

さて、先程お話ししたシールと言うのは様々な形状のものがあり、これは船社が用意するものなのですが、船社によって、更には仕向地によっても形が違ったりします。単にプラスチックのテープの様なものから南京錠の様な形をしたもの、筒とボルトを組み合わせるものなど色々あります。鍵とはまた別モノで、あくまで封が切られていないかを確認するものです。しかしながらテープ状のものはやはり頼りなく感じられ、ボルトシールであれば扉が無理には開けにくそうに見えるもの。

 

 

私に対策を依頼されたお客様の輸出先は、インドでした。インドの港に着いた後、お客様のお客様、つまり荷受人の所まで運ぶのに、コンテナのまましばらく陸を移動する必要がありました。その間は保税貨物だったので、当然シールは切られないまま。盗難に遭われたコンテナは、お客様曰くテープ状のシールだった、との事で、その後輸送業者が船社に、ボルトシールなど頑丈なものに変更する様依頼したそうです。なので私の方でも最低限同じ対策は取らねばと、実際に封をする通関業者にシールの形状を確認すると、私たちが使っていた船社のその航路のシールはボルトシールであったことの確認が取れ、実際の写真もお見せし、お客様には安心して頂くことができました。

 

犯人が一体どのタイミングでどうやってコンテナを開けたのかまでは知ることができませんでしたが、おそらく素人目にはテープシールならば簡単に開けられそうだという風に映り、そのコンテナが標的になってしまったのではないでしょうか。航空貨物より、より中身がわかりにくいコンテナ船輸送で、苦心して開けたところですぐお金に替えられる様なものが入っているとは限らないコンテナを狙うのは、治安がかなり悪い場所ならではのことかもしれません。

 

実際に貨物が盗まれなくとも、梱包やコンテナを開けられるだけで輸送時間の大幅なロスが考えられます。無事に貨物を届けるには、梱包を頑丈にするなどのハード面、コンテナシールを変えるなどの心理的効果を考えた方法などで、貨物を守る対策をとることも大事なのではないでしょうか。

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