貨物を盗難から守るには〜航空貨物編〜

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貨物を盗難から守るには〜航空貨物編〜

2017.04.10/

日本国内の保税倉庫では、監視カメラも設置され、出入りする者は入室許可証を常に身につけるなどして、外部からの侵入者があれば即座に発見できるよう、徹底した警備・管理がなされています。外国貨物を扱わなくとも、多くの国内の運送会社倉庫でも、入退室管理や手荷物検査が行われています。

空港の航空会社の上屋がある場所は、そもそもそのエリアに入るために身分証の提出や、誰に、何の用があるかなども明示し、実際にアポのあった人に会いに行ったかどうかの証明も、帰りに提出しなければならなかったりします。世界的に見て比較的治安が良いとされる日本でもその様に徹底した管理体制が整備されている空港の保税地域ですが、海外ではどうでしょう。

保税倉庫内を移動するリフトマン(掲載元: セカイコネクトHPより)

 

あるヨーロッパの先進国の空港で、こんなことがありました。中国のとある企業から送られた貨物が、空港上屋で損傷を受けたという報告が、立て続けにあったのです。ダメージ報告は現場から写真が何枚か送られてくるのですが、いずれの貨物も下方に大きな穴があいてしました。

 

調査の結果、その穴はどうやらフォークリフトで故意に刺されたものである疑いが強い、という事でした。初めて遭遇する事案でしたので、かなり戸惑いました。なぜ同じメーカーの貨物ばかりが狙われたのでしょうか?

通常のシュリンクラップで巻かれた貨物。
これでは中のカートンの文字が透けて見えますね。
(掲載元: 山口物流(株)HPより)
  • そのメーカーは世界的にも有名な精密機器のメーカーで、その性能は折り紙つき。また、ブランド力がある故に、そのメーカーの製品は市場ではそれなりのお値段で取引されているのは誰もが知っている事でした。そしてそのカートンにはその会社のロゴが入っていたのです。犯人は外装に穴を開け、中身を盗難しようとしたのでしょう。しかし、入っていたのはそのメーカーで作られたものには違いないのですが、完成品で無く、パーツ。売りさばける市場には限りがありますし、そもそも素人目には一体それが何なのか、分からなかったかもしれません。中身の商品は一部フォークで刺した時に傷を受けてしまいましたが、盗まれた形跡はありませんでした。

 

悲しい事ですが、治安の良し悪しに関わらず、悪いことをする人というのはそこかしこに居るもののようです。多くのメーカーさんが何種類かのサイズ、もしくは製品ごとに、ロゴの入ったカートンを作っていらっしゃると思いますが、知名度が高く、その質の良さが世界的にも認められていた為に、悪知恵の働く者の目に留まってしまったこの事件。ですが、原因が分かったので、二度と起こらないよう対策を練る必要があります。

 

要は、その貨物がそこのメーカーのものかどうかが分からなければ良いのです。案として出されたのは3つ。

 

ベニヤで覆った梱包。これならフォークなどで刺せまい!!
(掲載元: (株)ケンツーロジスティックスHPより)

 

1つは、メーカーさんにロゴが付いていないカートンに商品を入れてもらう事。残念ながらこれは、メーカーさんが世界各地に商品を送る中で、そこの仕向け先だけカートンを変える事への作業の負担や、新たに無地のカートンを買ってもらう事になる金銭的負担を考えると、とても頼めそうにないので却下。

 

2つ目は、パレタイズの時に黒いシュリンクラップで巻く方法でしたが、通常は透明のラップがわざわざ黒にしてあると目立つ上、剥がされたら終わりなのでこれも却下。

 

結局貨物は、ロゴ入りカートンでメーカーさんから入ってきたものを、パレタイズした上に木で囲んで木箱の様に梱包する、という、大掛かりなものになりました。そこのメーカーさんはいつも納期に余裕を持って出荷してくださっていたので、そんな大掛かりな梱包をする時間があったのです。いつも納期ギリギリの納品で、ハンドキャリーになったり、頻繁に緊急貨物として出荷しないといけない様な仕入先さんであれば、もっと別の手段を考えなければならなかったでしょう。

 

今回は航空輸送編でしたが、海上貨物にも同様の危険は潜んでいます。それはまた、次の回で。

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