Origin〜旅する貨物〜

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Origin〜旅する貨物〜

2017.06.21/

我が家のオーディオプレーヤーは、日本のメーカーで、中国製でした。
(筆者撮影)

 

あなたの家の家電は、どこの国のものですか?パソコンは?電子レンジは?中国製?日本製?はたまたスイス製?

 

メーカーが日本のメーカーであっても、製品は台湾製、なんてことはザラにあることは皆さんご存知の通り。日本のメーカーびいきのあなたも、どこの国で作られたか気になって、改めてテレビの裏側の目立たないところにある刻印を見てみると”MADE IN CHINA”。日本の電子機器メーカーが生産を国外で行うことは、もはや当たり前の様に行われていますね。

 

ではこの”MADE IN CHINA”のテレビ。液晶板も中の基板もフレームも部品を止めているネジも、全てが中国製でしょうか?

 

答えは、多くの場合が”No”でしょう。

こんなことがありました。ある機械部品の輸入をした時、たまたま税関検査に引っかかり、貨物を開けて中を検査されることになりました。こういった税関検査は無作為に行われますし、検査が終わるまで貨物を動かすことはできません。通関を切ることも勿論できません。「忙しい時に限って引っかかるんだよなぁ〜」なんて愚痴をこぼしながら、検査が無事終了したという連絡を待つのみです。

 

基板の一例。
(東京精電(株)HPより)

 

しばらくして税関検査に同行していたスタッフから連絡が入り、「あ、検査終わったんだな」くらいの気持ちで電話に出ると、訝しげにそのスタッフが「あの・・・、これって書類上”Made in China”になってますけど、中国製で間違い無いんですよね?」と聞いてきました。なぜそんな事を聞くんだろうと思いつつも、書類をもう一度しっかり見ても、どう見ても中国製。それに中国からやって来ていた貨物なんです。ところが現場にいたスタッフ曰く、「これ、”Made in Taiwan”って書いてあるんですけど・・・。」

 

 

写真を送ってもらって改めて確認すると、そこには確かに商品にしっかりと”Made in Taiwan”の文字が。外装の箱なら箱の使い回しであるかもしれませんが、商品そのものにしっかりと、台湾製であることが明記されているのです。じゃあなんでこの商品は台湾でなく中国からやって来たのか。

 

その機械部品とは、基板でした。基板には半田付けで様々な部品が付けられていき、そうすることで本体機械がその機能を発揮できるのです。逆に、基板がタダのところどころ穴の空いた板のままであれば、なんの役にも立ちません。

 

くだんの基板は、基板の板そのもの(ロウボードと言います)は台湾で製造され、その後中国に渡り、中国で実装(基板がすぐに使える様に、様々な機能を半田付けで付け終わった状態)されたものが、日本にやって来たものでした。

 

テレビひとつを取っても、様々な国で生産された部品が、世界を旅してやがてテレビになったのかもしれません。
(掲載元: 世界地図ナビより)

 

国際輸送でお目にかかるのは、部品やパーツがほとんどで、なかなか完成品にお目にかかることは少ない様に思います。先程の基板も、当然そのままでいるわけでなく、日本の工場で完成品になるか、もしくはさらに何かの加工が加えられ、また日本を旅立っていくのでしょう。

 

後で改めて調べたところ、この”MADE IN 〇〇”、つまりその製品の原産国はどこであるかという表記ですが、”その製品の主たる機能がどこで付けられたか”、とか、”その製品がその製品であるという性格がどこで生まれたか”という定義で原産国は決まるそうです。だから実装のされていない基板は”Made in Taiwan”でも、実装されたのが中国なので、日本に輸入した時は”Made in China”で間違いなかったのです。

 

ちなみにパソコンであれば、基板にCPUが搭載された場所が原産国となるそうです。フレーム部分や液晶パネルの方がよっぽど大きいですが、パソコンの機能はCPUに詰まっているからです。

 

しかし驚くのは基板の状態で既に三ヶ国も巡っていること。この基板がテレビやパソコンになる頃には、一体合計で何カ国巡っているのでしょうか。あなたのうちの家電も、もしかしたらあなたが今まで海外に行った数より多く、色々な国を巡って来たのかもしれません。

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