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2017.08.28/
今回は、価格の建て方というテーマで進めてまいります。
売主が価格を設定する場合に、基本的な方法としてコストプラス方式というものがあります。これは、必要な費用を単純に足していく方法です。ですから、貿易にあまり慣れていない場合には、この方法で価格を算定していくことが多いようです。たとえば、あるメーカーがFOBで自社製品を輸出する場合を例に取ってみましょう。まず、製造原価ですよね。それに、倉庫から港まで輸送しますので、国内運賃と国内保険料をプラスします。もし、メーカーではなくて、商社が輸出するのであれば、メーカーからの仕入価格がベースとなり、それに国内運賃と保険料がプラスされることになります。さらに、輸出税や輸出通関費用、船舶への積込費用をプラスします。
また現行では、原産地証明料や領事査証料も建値に含めることが多いです。
・利点 単純に足していけば良いのでさほど困難ではない。
・欠点 市場の相場よりも高い価格を算定してしまった場合には、競争力という点で問題あり。
上記のコストプラス方式とは発想が逆になります。まず、希望販売価格を設定します。このぐらいの価格であれば採算も取れて、しかも市場において、同業他社の価格とも充分渡り合っていける価格を割り出します。そして、その価格を達成するには、輸出にかかる諸費用をどれぐらいに抑えなければいけないか、などの計算をしていきます。
・利点 海外市場での販売を有利に進めることができます。
・欠点 担当者が業務に慣れていなければいけないということ。そして、希望販売価格を達成するために、メーカーや関係事業者に無理な要求を押し付けてしまうことになりかねない、ということが考えられます。
貿易では通常、売買契約が締結される時点と、実際に契約が履行される(商品の所有権が完全に買主に移転する)時点とにタイムラグがあります(未履行物品売買契約)。従って、後々のことを考えて、事前に取引の一般的なことを取り決めて、協定書またはアグリーメントを取り交わします(現行では省略することが多いようです)。
アグリーメントの価格条項においては、価格の建て方(CIFやFOBなど)と決済通貨を定めます。
そして、個々の取引に際して、売約書を取り交わします。売約書の価格条項には、単価と総額(Total Amount)を記載します。
たとえば