品質決定の方法、時期と場所について
2017.09.04/
貿易取引においては商品名だけでなく、商品の品質について明確に定めなければいけません。そこで今回は、貿易契約における品質の決定について、具体的に説明していきます。
- 品質の決定方法(商品の特性によって適切な方法が採用されている)
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- 見本(sample)によって決定・・・繊維製品や雑貨等加工品に用いられることが多い。見本と引き渡された商品が同一であることが必須。もし両者に違いがあった場合には、解約になることもあるので注意すること。できれば送付した見本の控えは保管しておくこと。そして、売約書には”similar to sample”等の文言を用いておくと安心である。
- 仕様書(Specification)によって決定・・・写真やカタログなどを用いて仕様書を作成し品質を決定する。大型機械など見本を送付できない商品などに適用。
- 銘柄、商標(Brand, Trade Mark)によって決定・・・見本を使用せずに、商標やブランドによる。有名ブランドの商品などが該当する。
- 標準物(Standard)によって決定・・・米や麦などの穀物は天候等の影響で年によって作柄が異なるため、等級で定められた標準物で品質を決定する。もし、標準物と現物とに相違があった場合には代価調整を行う。
商品によっては一級品ばかりを揃えることが困難なものもあると思われる。その場合は予め二級品混入の許容量を決めておき、売約書にその旨を記載しておくとよい。
品質保証をどこまで売主が行うのかについては、売買当事者で取り決めてあればそれが優先されるが、取り決めがなければ貿易条件の原則通りとなる。従って、FOBやCIFのような船積品質条件(船積時点までの品質を保証)であっても、買主から陸揚品質条件(陸揚時点までの品質保証)を要求され(買主からの注文書に記載されている)、それを売主が承諾すれば売主は陸揚げまでの品質を保証することとなる(特約優先)。
船積品質条件の場合、売主は検査機関が発行した検査証明書(Inspection Certificate)を買主に提供することで品質保証の責任から免れると解されているが、実は、日本の検査機関が発行するこの証明書は検査済みであるという証明にすぎず、必ずしも契約通りの品質を保証しているものではない。できれば、売約書には”Inspection Certificate by (検査機関の名称) to be final”の文言を入れておくと安心である。陸揚品質条件の場合には、予めどの検査機関によって検査を受けるのか決めておくことが必要。
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