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2017.10.28/
日本でのBSE(牛海面脳症)の発生により、
2001年9月以降、台湾は日本産牛肉の輸入を禁止していました。
その後日本政府が牛肉の輸入再開を求め、長年に渡り台湾と協議を続けてきた結果、
2017年7月17日、台湾衛生局が16年ぶりの日本産牛肉の輸入再開を発表しました。
2017年9月22日、厚生労働省は都道府県に向け、『対台湾輸出牛肉取り扱い要綱』を通知し、
10月からは日本産牛肉の台湾への輸出が始まっています。
台湾は九州ほどの国土面積を持ち、2017年現在の人口は2,355万人。
2016年の台湾からの訪日者は417万人、人口に比して非常に多く、
日本からの農林水産物・食品の輸出額も、香港・アメリカに続き、台湾は第3位の931億円。
日本にとって、台湾はモノの行き来も活発で、とても親交の深い国です。
さらに台湾では牛は農作業用の家畜であり、牛を食する文化はありませんでした。
そのため牛肉の生産量は少なく、ほとんどが海外からの輸入に依存しているという状況から、
国産牛肉の有望な輸出先として、台湾市場に対する期待が高まっています。
外務省 国 地域 台湾 TAIWAN
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taiwan/index.html
牛肉輸出の条件としては、月齢30か月未満の牛の肉であること、
台湾政府が定めた特定部位を除くこと、
厚生労働省が認定し、台湾政府が承認した食肉処理場で処理された肉であることです。
現在承認されていると畜場は、全国で29施設あり、
輸出の際は、認定と畜場等発行の食肉衛生証明書を添付する必要があります。
また放射性物質に係る輸入規制のため、福島・茨城・栃木・群馬・千葉産のすべての食品は、
依然として台湾での輸入は停止中になっています。
さて、2013年に「和食」が「ユネスコ無形文化遺産」に登録されるなど、
現在世界的な日本食ブームが起こっています。
この日本食ブームに乗って、和牛の輸出促進を期待したいところですが、
現在は、オーストラリア産和牛やアメリカ産和牛など
外国産の「WAGYU」が高い評価を受けているのです。
台湾の高級牛肉市場でも、オーストラリア産の高品質なWAGYUがすでに
流通しているため、厳しい競合になりそうです。
農林水産省から発行されているパンフレット「WAGYU-Japanese Beef」には、
「『和牛』は、日本の文化が生んだ食の芸術品」とあります。
昔の日本では、牛は食用ではなく、農作業を助けてくれる家畜でした。
牛が家族の一員として大切に飼育されてきた伝統と、
生産者たちの育種と品種改良の努力の賜物が和牛。
日本の豊かな自然と風土の中で生まれ、
1頭1頭手をかけて大事に育てられた日本の牛肉の良さが、
台湾の人たちにも伝わるといいですね。
和牛を知る 日本の牛を守れ編
http://www.nikumedia.com/article/column/1429/
ジャパンブランドPRのために、2007年が「和牛統一マーク」が制定され、
マークを貼付することで、日本産「和牛」と外国産の「WAGYU」を
識別するための取り組みも行われています。
本物の証 「和牛統一マーク」日本畜産物輸出促進協議会
http://jlec-pr.jp/ja/beef/logo
このマークがついていたら、日本生まれ日本育ちの「和牛」という印です。