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2017.10.17/
東京税関
2017年10月8日より、通関の体制が大きく変わりました。
『輸出入通関官署自由化』制度―実に50年ぶりの大きな変革だそうです。
従来は貨物の輸出入の申告先は、貨物の蔵置場所を管轄する税関であることが原則でした。
しかし、現在ではAEO事業者であれば貨物の置き場所に関わらず、
函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司、長崎、沖縄と
全国9つある税関のどこにでも申告できるようになりました。
この場合のAEO事業者とは、輸出者・輸入者・通関業者であり、
AEO
法令遵守の体制を評価認定された事業者のことです。
税関所在案内
http://www.customs.go.jp/kyotsu/map/index.htm
この改正により通関営業所の拠点が集約され、
本社や営業所の最も多い東京税関での申告が増大することが予想されます。
貿易統計によると、東京税関の2016年度輸出総額は154,068億円、全国比は22%.
輸入額は232,314億円と全国比35.2%。
2020年東京五輪・パラリンピックの年には、2,000万人の訪日外国人旅客の誘致を目指す日本。
ヒトの出入りを管理するのは、法務省管下の地方入国管理局ですが、
モノの出入りを管理するのが、財務省管下の税関です。
管轄内に首都圏の玄関、成田空港・羽田空港・東京港を擁す東京税関の役割は、
円滑な通関、不正薬物や危険な銃器、密輸品の水際の取り締まり、
関税等国の財源の確保など、今後ますます重要なものとなるでしょう。
今回の『官署自由化』は50年ぶりの通関法の変革と言われていますが、
税関制度はいつから始まったものなのでしょうか。
税関のHPには、『税関の歴史、それは鎖国の終わりで始まった』とあります。
アメリカ人ペリーが黒船で浦賀港に来航したのは1853年。
長く続いた鎖国政策を転換し、諸外国に港を開く決断をした幕府は、
1859年に長崎・神奈川・函館と3つの「運上所」を設置し、
海外からの貨物の点検や税金の徴収をしました。
1867年、東京港からの貨物に対応するために、幕府は東京運上所を
江戸築地鉄砲洲に置きました。
http://www.customs.go.jp/tokyo/tuu/index.htm
やがて1872年11月28日、「運上所」は名称改め、
正式に「税関」が誕生しました。
11月28日は『税関の日』。今でも記念日になっています。
東京税関は横浜税関の支所でしたが、1953年に独立。
現在東京税関の管轄区域は、東京都、埼玉県、群馬県、山梨県、新潟県、山形県の1都5県、
成田空港を含んだ千葉県の一部です。
管轄内には京浜、新潟、柏崎、直江津、姫川、酒田の6つの港と、
成田、羽田、新潟の3つの空港を擁しています。
…
融通が利かないのは当たり前、だって公正さとルールは万人に適用されるから。
東京港湾合同庁舎(東京税関本館)
http://www.customs.go.jp/tokyo/tuu/index.htm
海外でのテロのニュースの多い昨今、
関所として水際で危険な薬物や武器の国内流入を防ぐことが、
税関の重要な使命ではないでしょうか。
空港やテレビなどで見かける麻薬探知犬は、
1979年アメリカ税関の協力でやってきた2頭の犬が、
我が国の麻薬探知犬の始まりです。
麻薬探知犬は、増加する麻薬の密輸入を水際で防ぐため、
入国検査、税関検査、保税地域などに配置され、麻薬摘発に成果をあげています。
麻薬探知犬訓練センターも東京税関にあり、ハンドラーや訓練士もまた、
東京税関の職員なのです。
入国検査場にて
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/maken/maken.htm
2020年の東京五輪・パラリンピックに向けてのテロ対策強化として、
財務省が空港税関に新型のX線装置を導入する、
爆発物テロを想定した大規模訓練が成田空港で行われた、
そんな記事をしばしば見かけるようになりました。