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2017.04.25/
ハンドキャリーとは、まさにその名の示す通り、実際に目の前にある貨物に手で触れ、その重さを実感しながら運びますが、そのバックグラウンドには、実際に貨物に触れる事の無い人達もたくさん関わっています。国際貿易というものは常に、その貨物に指一本触れることも、直接見ることすらなくとも、その貨物の輸送のための手配をせっせと行う人達がたくさんいて、初めて動くものです。
国内だけでも、たくさんの人が関わるとなると個人個人の感覚の違い、認識の違いなどが起こりますが、直接貨物に触る荷役の現場では特に、事故や不具合を防いだり、またはお客様に満足してもらう為に、その個々の違いのムラを最小限まで無くすための”教育”が必要となってきます。具体的数字や例を挙げ、繰り返し行うことによって作業の質を上げていくのです。
しかし、海外ともなるとその教育もなかなか行き届くことが難しいのかもしれません。日本では考えられないハプニングが起こることがあります。
貨物を輸出入しようとした時、日本ならば海上輸送か航空輸送という手段を避けては通れません。それは日本という国が島国であるからで、陸続きの国であれば、陸送という方法もあります。
ある時三国間貿易として、Shenzhen(深セン)から香港へのトラック輸送を手配することになりました。荷量の変更も何のイレギュラー報告も無く、出荷指示は滞りなく前日には済んでいました。初回出荷などでもなく、もはやルーティンとなりつつあった手配だったので、あとは当日トラックが運んでくれるだけ。自分の手からはもう離れた仕事だ、と、その日の他の仕事に集中していました。すると昼過ぎに急に深セン側から連絡が入って来ました。
深センの保税倉庫に入ったその日トラック輸送するはずだった貨物に、ダメージがあったというのです。再梱包をする為に工場から一旦保税倉庫に入ってきたカートンは、激しく濡れていました。箱全体に乳牛の体のような模様が付いていて、一体全体どうやったらこんな濡れ方をするのか、トラックの天井に穴でも空いていたのか、と、ちょっとした騒ぎになりました。その頃ちょうど中国は記録的な豪雨に見舞われていて、特に酷かった上海などの被害状況が連日報道されており、深センが別段酷いとは聞いていませんでしたが、もしや豪雨でトラックの車体が浸水でもしたのでは無いだろうか、などと心配もしました。
ところが、原因報告を求めると返ってきた回答は、「トラックの運転手が雨なのに扉を閉め忘れたから」というものでした。日本側のスタッフは一同”キョトン”顔。雨なのに?いや、雨じゃなくても、トラックの扉を閉め忘れる?荷物が飛び出したりしたらどうするんだろう?ましてや雨なのに、なぜ扉を閉め忘れることができたのだろう?
こんなこともありました。中国の珠海あたりかどこかの都市の倉庫で、カートンをパレタイズしてもらうように依頼した時。カートンには段積み制限などの注意書きが記載されており、そこには4段までなら重ねて大丈夫だと記してありました。ところが、その商品は海上輸送でコンテナに詰められるギリギリの高さまで、結局6段にまで積まれてしまい、結果的に到着地側でコンテナを開けると、下の方に積まれたカートンが潰れてしまっていました。
その商品が4段積みまでしかできないことを予め日本側でも分かっていれば良かったのですが、その情報が無いままパレットは組まれ、商品を一部ダメにしてしまいました。日本側だとこういうことはまず無く、6段まで積めと事務所から指示があったとしても、カートンに書いてある段積み制限がその指示と違っていれば、現場のスタッフから事務所の方に確認があります。