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2017.08.09/
輸出した貨物の代金の決済方法として、信用状(L/C)、
荷為替手形(D/A, D/P)、送金(T/T)などがあります。
L/C決済は貿易のリスクを回避する、比較的安全な取引ですが、
決済までに日数とコストがかかり、書類作成も煩雑なことから、
近年ではL/Cの利用は減少する傾向にあります。
しかし、L/C取引の知識は、貿易取引の流れを理解するために、
とても役に立つものです。
“Connectivity and more for multi-banked corporates”https://www.swift.com/our-solutions/corporates?akcorpredir=true
信用状L/C(Letter of Credit)とは―
L/Cは輸入者が取引銀行に依頼し、銀行から商品代金の決済として、
輸出者に向けて発行される書状です。
輸出者は、L/Cの受益者(Beneficiary)であり、
発行銀行は輸出者に対して支払いを確約します。
それにはL/C条件に合致した書類を、
輸出者が提示することが条件になります。
輸出者は自国の銀行に書類の買い取りをしてもらい、
その後買取銀行が発行銀行に書類を発送するとともに、
支払いの要求をします。
買取書類の流れは、輸出者→輸出者の銀行→発行銀行→輸入者、
代金の流れとしては、輸出者←輸出銀行の銀行←発行銀行←輸入者となります。
ディスクレ付き買取
輸出者の提示した船積み書類がL/C条件に一致しないことを、
ディスクレ(Discrepancy)があるといいます。
この場合はL/G(Letter of Guarantee)を差し入れて
銀行に買取してもらうことはできますが、もし手形が不渡りになった場合、
輸出者は買い戻しに応じ、買取銀行の損害も補償することになります。
またディクレがあった時点で、ペナルティ料が発行銀行より課せられます。
ささやかな差異もディスクレになり得ますので、
L/C付きの船積み書類の作成には十分な注意が必要です。
L/Cには、以下のような項目が記載されています。
1.
2.Form of Doc. Credit
3.Credit No. :信用状番号
4.Date of Issue
5.Applicable Rules
(UPCは国際商業会議所(ICC)が制定した統一ルール)
6.Expiry Date /Place
7.Applicant
8.Beneficiary
9.Amount
At Sightの場合は
16.Port Dischg
または発行銀行の郵便物受付時間など
21.Charges
22.Period
23.Confirmational Instruction
24.Instruction to Bank
ディスクレのペナルティ料金、書類の送付方法
L/Cベースの取引は煩雑でコストと時間がかかるため、
最近ではT/T送金による決済が増えているようです。
また、TSU/BPOというデータのマッチングによる電子決済も始まりました。
TSU/BPOは書類原本を銀行間で送付する必要がないため、
決済までの日数が短縮され、支払金利の削減につながるというものです。
『金融機関が提供する新たな貿易決済・貿易金融』
三菱東京UFJ銀行
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/data/rel131122c2.pdf
貿易取引に限らず、変化のスピードが非常に速い現代、
実務を行う者は時代に取り残されないように、
いつも知識をアップデートすることが大切ですね。